東京駅丸の内駅舎が、重要文化財登録(2003年)されていたとは
知りませんでした。北木石のパンフレットや弊社サイトでも、過去の
実績一覧には掲載がない、1914年(大正3年)創建の同駅舎です。
この東京駅以外にも、明治中期~戦前にかけて、北木石は、多くの
実績(近代建築物だけでなく著名人の墓石にも使用)を積み重ねて
きました。我々の存じ上げない偉大な功績が他にもある筈ですので
そういう情報等がございましたら、是非ともご教授ください。m(_)m
本日は、東京からのお客様でございます。前述、丸の内駅舎保存・
復原工事で北木石を使用する可能性があり、採石場の現状と原石
確認の為に、わざわざ御来島されました。
文化財の復原工事となると、北木石の場合、100年程前の原石
との比較になります。その頃の石というのは、表面層(山肌)近く
で採掘されたものばかりですので、どうしても石目が粗く、色も、
赤みを帯びた感じの石になってしまいます。
表面層の石と、【大深度】と言われる程、地底深くまで掘り下げた
場所の石では、目合い(石の色調)だけでなく、圧縮強度などの
材質も異なります。我々が採石会社として生き残れたのは、最も
変色・風化しにくい北木石を採掘してきた事が、大きな理由です。
現在、弊社では採石場の再開発直後ということもあって、当時の
石に近い目合いの原石も採れております。若干、石目が細かく、
赤みが薄い(肌色っぽい)ですが、耐久性には優れています。
その情報を聞き付け、お二人が事前調査に来られたという訳です。
また、部材サイズをベースに原石の寸法チェックも行われました。
この石置場にある、海面下70mから採掘された原石の二等材も
コスト面では重要な役割を果たします。
しかしながら、石の切削・加工の仕方によっては、石の歩留まりが
大きく低下して、一等材の方が割安となる場合もあるので、難しい
選択となります。そういった判断は、スーパーゼネコンさんと、原石
採掘元との間を取り持つ【石材施工会社】さんの腕前に左右される
といっても過言ではありません。
最近では、弊社の採石場を利用して、何十年も前に他山で採掘され
売れ残った原石を便乗販売するケースや、北木島内に持ち込まれて
売れ残った【中国材】を北木石と偽って販売する業者も存在します。
伝統が受け継がれ、それを守っていく為には、何より、施主様の強い
ご支持と、心ある石材業者さんとの信頼関係が不可欠なのです。